発達障害と間違われる要因は何なのか

発達障害は脳の発達と機能に関係することから、その日、その時の状況が機能にも影響を与えています。発達障害を認知症と比較してよいのか疑問もあるのですが、認知症の検査は1回だけでは見逃すこともあれば逆に誤って認知症と判断されてしまうこともあります。そのため、正確を期するためには複数回の検査、別の方法での検査による判定が必要になります。
これは試験としては乱暴な方法であることは承知をして、検査のあり方を検討するために実施された方法ですが、わざと厳しい態度で医師が対応する、急いで検査をする、聞こえにくい感じで質問する、といったパニックを起こしかねない条件では、認知症検査の結果が悪く出て、ボーダーライン(予備群とされる軽度認知障害)にある人が認知症と判定される結果となった例も多数ありました。
これと同じではないものの、発達障害についても対応によって発達障害ではない子どもが間違って判定される危険性もあります。医師に状況を伝えるのは子どもではなくて親という例が多く、親が正確に伝えられない状況では、間違いも起こりやすくなっています。
今どきはネット情報が溢れていて、発達障害の情報はいくらでも検索で出てきます。発達障害の発現率は10%とされていることもあって、これを見て心配になってしまい、神経質になって子どもの状況を強く訴えてしまうことから、これが間違いを生むことにもなっています。
このことは、もちろん専門医は承知していて的確に対応して判定しているはずですが、ハイリー・センシティブ・チャイルド(HSC)は感受性が豊かで、周囲の反応に敏感すぎて傷つきやすい子どもで、出現率は20%にも及んでいるという報告があります。これは病気や障害ではなくて、生まれ持った気質ではあるものの、体調によっては発達障害と同じような反応や行動をすることがあり、表面上だけを見ているような状況だと誤った判定にもなりかねません。
健康診断を受けて、病気が発見されると、そのことばかりに注目してしまい、他のことを忘れてしまうというのはよくあることですが、親が子どもの反応を気にしすぎることが見逃し、間違った判断にならないように、正確な情報を入手してほしいのです。その基本となる情報を発信する機会として私たちが進めているのが児童発達サポーター制度です。