発達障害の特徴について、「発達障害者支援ハンドブック2020」で解説とともに問題点が指摘されています。
学習障害は、発達障害者支援法の中で発達障害の一つとして位置づけられています。学習障害は知的発達に明らかな遅れはないのに、学習の習得が持続的に明らかに遅れている状態を指しています。その原因は、本人の努力不足でも教育環境の問題でもなくて、脳の働きに何らかの問題があって起きているものと考えられています。文部科学省の学習障害の定義では聞く・話す・読む・書く・計算する・推論するの6つの能力に言及していますが、医療では読む・書く・計算する・推論するの4つを取り扱っています。
(1)識字障害
文字を読む際の正確さや流暢さ、意味理解に困難があり、それらが持続することで学習に著しい困難が生じている状態のことを指しています。学習の困難は年齢や知的能力から期待されるよりも著しく低い状態を指しています。識字障害は知的発達が遅いこと、視力や聴力の障害、神経疾患が原因ではなく、充分な教育が行われなかったり、外国人や帰国子女などのように学習に必要な言語能力が不足していたり、社会心理的な逆境の状態があるといったことがないことも確認することが必要です。
(2)書字障害
文字のつづり方の正確さ、文法や句読点の正確さ、文を書く際に思い浮かぶことをまとめたり、つなげたりすることに困難があり、それらが持続することで学習に著しい困難が生じている状態のことを指しています。学習の困難は、識字障害と同様のことが考えられています。自閉症スペクトラム障害では漢字の書字困難が高頻度に見られます。これが学習障害の書字障害とされることがあるものの、多くは書き順が自己流で、同じ漢字を書くたびに書き順が異なることが原因となっています。自己流にやりたいという価値観の問題で、学習障害とは異なっています。
(3)算数障害
数の感覚や数的事実の記憶、計算の正確さと流暢さ、数学的な推論に困難さがあり、それらが持続することで学習に著しい困難が生じている状態のことを指しています。数の感覚は数の順序や大小関係、量的な感覚のことを指します。数的事実は、わざわざ計算するまでもなく事実として覚えている、ごく簡単な足し算や引き算のことを指します。学習の困難は、識字障害と同様のことが考えられています。