発達障害の状態に影響を与える自律神経の調整の基本は就寝時間です。調整法としては、夜に身体を休めるように昼間に運動をする、昼間に刺激的なものを食べるといった興奮させるようなことをして自律神経の交感神経の働きを盛んにしておけば、夕方以降は副交感神経の働きが盛んになって神経も身体も休ませられるというのが、発達障害の研究者がよく口にすることです。
自律神経は、ずっと交感神経が盛んに働き続ける、副交感神経盛んに働き続けるということはなくて、片方が上昇すると、もう一方が降下するというリズムがあり、波のように繰り返されています。その交感神経の波が起床してから夕方までにきて、副交感神経の波が夕方から起床前まできていれば、これが自律神経の調整が取れた状態となります。
その調整ができないと、脳の調整が乱れた状態で生活しなければならなくなります。健常人(という言葉は好きではないのですが)でも就寝時間、起床時間が急に大きく変わったら交感神経と副交感神経の調整ができなくなって脳の働きも正常ではなくなります。たった1日でも苦しい結果になるのに、発達障害で自律神経の調整ができていない子どもは、子どもなのに、それを毎日繰り返していることを知ってほしいのです。
赤ちゃんのときには“寝るのが仕事”と言われるほど長時間の睡眠時間があり、成長につれて徐々に短くなっていきます。そして、小学生になったら20時になったら寝て、6時には起きるという生活パターンになるのが一般的ですが、大人の生活パターンに合わせるようにしていると夜更かしの生活になってしまいます。専門家の中には、子どもだけを20時に寝させても親が起きていたら子どもは熟睡できなくなるので、家族も一緒に20時に寝ようということを提唱している人もいます。それは正しいことであったとしても、20時に家族全員が一緒に就寝できる家庭が、どれくらいあるのだろうかということを考えると、他の方法も探るべきではないでしょうか。