発達障害の感覚過敏は五感だけなのか

発達障害の感覚過敏というと、自閉症スペクトラム障害にみられる特性ですが、視覚、味覚、嗅覚、聴覚、触覚の五感の過敏について語られることが一般的です。しかし、感覚過敏というのは、いわゆる伝統的な分類の感覚だけではありません。この五感こそが感覚のすべてというような表現がされていることもあるのですが、これ以外にも感覚過敏はあります。
その感覚過敏について紹介するときに、例としてあげられているのが発達障害児にみられるアレルギーです。アレルギーは、同じ刺激を受けると同じように反応するわけではなくて、それほどの刺激でないはずなのに過敏に反応することがあります。身近なアレルギーである花粉症は、通常では花粉を浴びても特に反応が起こらないような量であっても、花粉を身体から追い出すための反応である、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、目のかゆみ、涙といった症状が起こります。このような症状が起こらない程度の刺激であっても、その人にとっては激しい反応を起こさないではいられない状態になっています。
発達障害の感覚過敏が現れやすい人は、他の過敏も現れやすい傾向があります。アレルギーが起こってしまうと、感覚が過敏になって他のアレルギーが起こりやすくなります。アレルギーの中でも大した状態ではないように思われている花粉症でも、ひとたびアレルギーが起こって過敏になってしまうと、“たかだか花粉症”などと言っていられるような状態ではなくなって、他のアレルギーを引き起こす引き金となってしまうのです。
感覚過敏は、発達障害の特性である脳の発達のズレから、普通なら脳が調整したり、マスキングしたりして感覚を弱めてしまうようなことでも、ストレートに刺激が脳に伝わってしまいます。そのために、簡単には脳に伝わりにくいような刺激でも、強く感じてしまいます。こういったことから、アレルギーを起こすようなレベルの刺激でなくても、過敏に反応してしまうことが発達障害の人では心配されているのです。