発達障害の感覚過敏は慣れるものなのか

発達障害の自閉症スペクトラム障害では、五感の感覚が特異な状態になる感覚過敏と感覚鈍麻がみられることがあります。注意欠如・多動性障害では感覚過敏と感覚鈍麻はないと考えられていますが、注意欠如・多動性障害で感覚過敏などがみられることがあり、そのことによって注意欠如・多動性障害と自閉症スペクトラム障害の両方の特性があったことがわかったという例もあります。
感覚過敏のうち聴覚過敏は、耳から入ってきた情報のほとんどが脳に届けられて、耳障りという状態では済まずに、逃げ出したくなるような騒音環境ともなってしまいます。急に大きな音がしたときには、これを脳が調整する能力も普通は備わっているのですが、調整がうまくいかずに脳をストレートに刺激してしまい、驚き方、怖がり方が尋常でないということも起こります。
こんなときには大きな音がしないようにする、大きな音がしない環境にいるようにするという注意が必要になるのですが、何を勘違いしたのか、大きな音にビックリしないように慣らそうとする親がいて、それこそビックリしたことがあります。発達障害を扱った書籍にも資料には、そんなことは書かれていないはずですが、講演などで聴覚過敏の話を聞いたときに間違ったことを覚えてしまったのか、勘違いして聞いてしまったのか、聴覚過敏の子どもには辛いことであり、虐待をされていると感じるようなことにもなります。
聴覚過敏だけでなく、味覚過敏、嗅覚過敏、視覚過敏にしても、同じように慣れさせようとしても、虐待となってしまうことはあっても、時間をかけずに慣れるということはないのです。中には、刺激を受けることによって慣れるようなことがあったとしても徐々に変化をさせていく、また時間をかけて慣れさせるということをすべきであって、早急に結果を求めることは絶対にやってはいけないということを知っておいてほしいのです。
感覚鈍麻のほうは感覚過敏に比べると刺激に慣れることはあるようですが、それにしても早急の結果は求めずに、ゆっくりと成長して発達していく中で、徐々に感覚を正していくようにすることしかしてはいけないということです。