学習障害児の理解を進めて、社会的障壁をなくしていくための活動は、発達障害の特性や学習障害の特性を知ってもらうというのが通常の内容となります。もちろん、それは、どのような講習をするにしても必要なことですが、それで終わってしまったら、ただ学んだだけ、学んで知っただけ、発達障害であることで差別があってはいけないことを理解しただけで終わりかねません。
学習障害の支援の専門的なところは教育の専門家に任せて、その理解を社会的に進めていこうというのは大切なことではあるのですが、それでは当事者(学習障害児と家族など)との距離は、なかなか縮まらないと考えています。この距離を縮めていくためには、それぞれの地域の方々が、それぞれの知識や経験を活かして、支援活動に参加することが重要です。その参加があれば、より自分に近いこととして感じて、具体的な支援も期待できるようになります。
その見本を示すつもりで、日本メディカルダイエット支援機構では、専門分野の一部である栄養指導の分野で、発達障害と学習障害への関わりとして“発達栄養学”を研究して、講習テキストも作成しています。必要なものを食べて取り入れることは、発達障害や学習障害だけでなく、成長期にある子どもたちにも必要なことですが、発達障害があり、さらに学習障害で困難さを抱えている子どもたちには、もっと多くの栄養摂取が必要です。
ところが、発達障害では極端な偏食が起こりやすくて、工夫をしても食べられないものがあり、これを改善するためには通常の児童のための栄養学では乗り越えることができません。発達障害、学習障害の理解ができれば、専門性を活かしての支援も可能でしょうが、理解の度合いには大きな差があり、それが埋まるまで待っているわけにはいきません。そこで、これまでの研究成果を、できるだけわかりやすく、しっかりと伝えられるように発達栄養学の講習テキストの内容を精査しています。