発達障害の視覚過敏と勘違いされるアーレンシンドローム

発達障害の感覚過敏は自閉症スペクトラム障害に多くみられるもので、その一つの視覚障害は見え方が通常とは異なることから非常に困難を抱えています。知覚に占める視覚の割合は83%とされていて、視覚に問題があると、生活に大きな支障が起こってきます。
印刷物の文字は白い紙に描かれているのが一般的ですが、背景の白が輝いて見えたり、眩しく感じて、文字がよく見えないことに悩みを抱えている子どもがいます。そのような状況を訴えられると、まずは視覚障害が疑われることが多いのですが、実際にはアーレンシンドロームであることも少なくありません。アーレンシンドロームは視覚の過敏症と呼ばれていて、名称こそ視覚過敏と似ているものの、まったく異なるものです。
アーレンシンドロームは光の一部に対する感受性が高いために起こるものです。これとは逆に、光の一部に対する感受性が低いために色がよく見えなくなるのが色盲や色弱です。
光は3原色から構成されていて、青い光を感じやすい人、緑の光を感じやすい人、赤い光を感じやすい人がいます。中には2つの光、すべての光を感じやすい人もいます。光の違いは波長の違いによるもので、一定の光に対する感受性が高くなると見えにくくなってしまいます。
そのために見えるはずがない紫外線を見ることができたり、蛍光灯の光が波のように揺れて見える、光がチラチラして見えるということもあります。他の人には何も見えない、何も感じないものであっても、余計なものが見えてしまうために疲れてしまい、それが原因で体調を崩すことにもなりかねません。眩しく見えることから頭痛や吐き気を起こす人もいます。
アーレンシンドロームの子供は、学習障害の読字障害と勘違いされることもあります。それは単語を読み飛ばす、1行ごと抜けてしまうということがあるからで、その原因としては文字の背景の白が強く光って、文字がかすんだり、一部が消える、二重に見えるといったことが起こるからです。
アーレンシンドロームのために集中力がなくて注意欠如・多動性障害と勘違いされることもあります。
アーレンシンドロームの出現率は6%ほどと推定されています。発達障害の出現率が10%ほどとされているものの、そのうち感覚過敏は起こりやすい自閉症スペクトラム障害は2%くらいで、その全員に視覚過敏があるわけではないので、圧倒的にアーレンシンドロームのほうが多いことがわかります。