発達障害は「障害」なのだろうか

発達障害児支援施設を開設するために場所探しをしているときに、やっとよい物件に巡り合うことができて、オーナーと面接という段になって、驚きというか困惑することを言われました。それは「障害がある子どもが出入りするのは困る」との反応でした。
発達障害児は、通常の心身の障害児ではない、まったく普通の子ども(定型発達)と違いはない、ということを説明しても聞き入れてもらえなかったという苦い思い出があります。
そこから次の物件を探して、もっとよい、理想的なところを借りることができたので、今では半分ほど笑い話のように話すことができるのですが、発達障害児への“社会的障壁”を強く感じた機会でもありました。
発達障害は英語のDevelopmental Disabilityを和訳したもので、確かにDevelopmentalは発達、Disabilityは障害なので、組み合わせれば発達障害で間違いはありません。もともとは医学用語として国内に入ってきたので診断にも発達障害は使われ、法律名も発達障害者支援法で、障害者という認識も間違ってはいないのかもしれません。
しかし、子どもによっては常に障害があるわけではなく、目に見えるような状態でもなく、ましてや他の子どもよりも優れた特性が認められることもあって、一般に考えられている障害児とは異なっているのです。
そのことを強調しても、診断名にも法律名にも障害が使われているということで対応されると、これは引き下がるしかないような状態です。
発達障害児は、脳の発達に凹凸があるのが特徴で、凹を埋めることが重視されがちですが、それとともに凸を伸ばすことが重要です。そのために障壁となっていることがあるなら、凹凸に応じた支援とともに、障壁を取り除くための活動も発達障害児の支援のためには重要なことです。
まさに発達障害は障害ではないかという発言が出る根拠ともされる発達障害者支援法ですが、その中には発達障害者(18歳未満は発達障害児)は、発達障害があり、社会的障壁があるために障害者(障害児)となっているということが示されています。そこのところの理解を進めることが、本当の支援のためには必要なことなのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)