発達障害児の生活習慣に注目すると、昼間の時間帯に集中力が欠けたり、眠くなったりする一方で、夜になって活動的になったり、目が冴えて眠れないということが起こっていることに気がつきます。これは自律神経の交感神経と副交感神経の調整が乱れているというか、逆転している状態です。本来なら、朝に目覚めてからは交感神経の働きが盛んになり、夕方以降は副交感神経の働きが盛んになります。交感神経が盛んな時間帯は脳も身体も活発に働くようになり、副交感神経が盛んな時間帯は脳も身体も休息をするように働くようになります。
ところが、副交感神経の働きが盛んになる夕方以降に、交感神経を刺激するようなことをすると副交感神経の働きが盛んになりきれずに、交感神経の働きが盛んな状態が続くことになります。何が交感神経を刺激するかというと、明るい光、騒がしい環境、興奮するようなテレビ番組などがあげられていますが、特によくないのがブルーライトです。ブルーライトは自然界にも存在している波長が最も短くてエネルギーが強い光で、空が青く見えるのはブルーライトが含まれているからです。朝の光にはブルーライトが多く、朝日を浴びると副交感神経から交感神経に切り換わって、元気に1日が始められるようになるということが、よく言われます。
ブルーライトは目の角膜や水晶体では吸収されずに、網膜まで届いて、脳を刺激するタイプの特別な光であって、このブルーライトはパソコンやスマホの画面から出ている光です。こういう情報を得ると、夕方以降はパソコンやスマホのスイッチを切ればよいと思うかもしれないのですが、ブルーライトはLEDの光でもあります。LED照明でもLEDテレビでも同じことで、照明の点けっぱなし、テレビの点けっぱなしだと、ずっと朝の状態と同じような刺激を脳が受け続けることになります。
ブルーライトこそが発達障害の原因だと指摘する専門家もいて、発達障害には光に過敏な反応をする子どもがいることを例にあげて説明されていることもあります。また、発達障害の改善にブルーライトをカットするフィルムをパソコン、スマホ、テレビに貼ることがすすめられることがあります。しかし、そればかりが原因ではないと考えています。自律神経に影響を与えているのは光だけでなく、さまざまな環境が関係しています。夕方以降は寝るための準備をする時間で、暗くなったら眠るという情報が脳に刻まれているので、本来なら余計なことは何もしないほうがよいはずなのに、それができない生活環境そのものが原因だと考えています。