発達障害は優位な特徴と考えることができるのか

発達障害の自閉症スペクトラム障害の子どもの中には、こだわりを持って集中できるという特性を持っていることがあり、マイナスではなくプラスの状態と考えるべきではないか、という考え方があります。それに対して注意欠如・多動性障害の子どもは、不注意、多動性、衝動性があって、授業中に教室内をウロウロする、急に大声を出すというような、どちらかといったら困った子どもといったイメージが抱かれがちです。
しかし、物は考えようというか、周囲の捉え方によって、その人の能力を引き出すことができます。他のことを例に出しますが、日本メディカルダイエット支援機構の理事長が以前に血液型によるスポーツ選手の適性を取材したときに、A型は技術の習得が遅いということを書くとマイナスになるので、プラスの印象がある“大器晩成”という言葉を使ったら、関係者も選手にも、そして選手の親にも喜ばれたことがあります。
言い換えという小手先のことではなくて、優しく、大きく見守っていこうという気持ちがあってのことでなければならないことと考えていますが、注意欠如・多動性障害の子どもは自分のやりたいことがあると授業をそっちのけで行動するというのは「想像力がある」「よく気がつく」「自己主張ができる」「決断力がある」とプラスに言い換えることができます。
ここでプラスと言っているのは、その特異な行動を“得意な行動”としていくための周囲の理解と、その子どもに合ったことを提供してあげられる、選べるようにしてあげられる、その行動を応援してあげられるという条件があれば、ということを前提としています。その子どもたちを活かしてあげられる体制が整えられていないのに、プラスに捉えろと言われても、受け入れ難いところです。
先ほどの大器晩成ではないですが、晩成にならなかったとしても、それは一つのスポーツのことで、他に活かせる場があればよいということであって、注意欠如・多動性障害の子どもの特性が“能力”として活かせる環境づくりを一緒にしないことには、安易に言い換えをしてはいけないということを伝えさせてもらっています。そして、それぞれの専門分野の方々に、それぞれの立場で考え、提案してもらえないか、ということも伝えるようにしています。