発達障害の普及を目指した児童発達サポーター養成講習は、発達障害児と触れ合う機会がある交通機関、公共機関、医療機関、教育機関、商業施設など理解を得ることが重要であることから、これらの企業・団体に普及の場と支援を求めて活動を始めています。そういった中で、発達障害を改善することができる手法を紹介されることがあります。
親子関係が正常でないことから発達障害は起こり、親子関係を正常にすることによって改善できるということで、発達障害児の親に対する講習をすすめられたことがあります。この講習によって改善がはかれる裏付けと、その成果を是非とも知りたいと思って、エビデンスの提示を求めているのですが、今のところ返答はきていません。
腸を温めることで発達障害は改善するということで、腸を温める体操や食べ物をすすめられたことがあります。発達障害児は体温が低くて、腸も冷えているので、腸を温めて善玉菌が増やすと脳内神経伝達物質のセロトニンが増えて、心のバランスも整えられるという説明でした。腸を温めることで神経の安定ができるということは以前から言われてきたことですが、腸の働きを盛んにするためには自律神経の副交感神経の働きを盛んにすることが重要であるので、自律神経の調整ができる温熱であれば改善が期待されるのですが、身体を動かして血流を盛んにする、食べ物で温めるだけでよいというのは疑問を感じます。
もう一つ興味を抱いていることに、脳波トレーニングがあります。これは発達障害やうつ病の治療のために開発されたもので、Lowβ波という脳波が発生するように脳に刺激を与える手法です。スポーツ選手のメンタルトレーニングに使われていて、発達障害のある選手で能力を引き出すのに効果があったとの報告があるものですが、大掛かりで、誰でも実践できるというものではないので、これも検討をしている段階です。
人口の10%が発達障害とされる現状を考えれば、一定の条件に当てはまった人には改善効果があるというのは当然に考えられることです。その人たちに効果があることが、全員に通じればよいのですが、そのようなことが現実となるためには、多くの人たちを対象にして研究成果を得ることが必要です。手の届く範囲で好結果が得られているから、それで誰にも通用すると言い切るためには、まだまだ発達障害の研究とともに、介入試験を重ねるべきだという考えを伝えさせてもらっています。