発達障害は自律神経の乱れが原因なのか

発達障害児は自律神経の乱れがよくみられることから、自律神経の乱れが原因だと断定する専門家もいるのですが、自律神経の乱れがなかったら発達障害にならなかった、自律神経の乱れを改善すれば治るというような意見には違和感を感じるどころか、反論さえしたくなります。自律神経の交感神経と副交感神経の切り換えがうまくいけば治るというほど発達障害は単純なものではありません。
発達障害について書かれた書籍の中で、発達障害の感覚過敏で特定の臭いに強く反応する子どもにはマスクをさせて外出させる、マスクの中にアロマオイルを入れるというマスキング効果を紹介していました。アロマオイルには副交感神経の働きを盛んにするということも書かれていましたが、香りの種類によっては興奮させる作用のものもあるので、この情報は困ったものです。
交感神経が盛んに働く時間に副交感神経が盛んに働くようなことがあると学習に集中することができなくなり、これが教室という環境になじみにくくなり、周囲の反応が気になりすぎるということにもつながります。昼間の時間帯に交感神経の働きを盛んにするためには、夕方以降の時間帯に副交感神経に切り換えることが大切です。そのために、室温は快適な20〜24℃に近づける、入浴温度は40℃以下のぬるめにする、食事はゆっくりと時間をかけて食べる、食べ物は刺激物を避ける、脳を刺激するブルーライトが出るパソコン・スマホやLEDのテレビを切る、LED照明は避ける、静かな音楽をかける、リラックス系の香りを漂わせる、早めに就寝するといったことがあげられます。
そして、もう一つ、興奮しそうなときには深呼吸をする、といったことも効果があります。これなら、いつでも簡単にできる、しかも安上がりな方法です。
自律神経の調整が発達障害の程度に影響を与えることは確かだとしても、これがすべてではありません。しかし、発達障害は神経の発達によって徐々に調整されていくこともあるので、自律神経の調整ができるように生活を見直していくのは、もちろん大切なことです。脳の対応力が少しでも働けるようにするためには、まずは夕方以降に交感神経の働きを抑え、副交感神経の働きを盛んにすることから始めることです。