発達障害がある人は、自律神経の調整が乱れやすく、そのために睡眠のリズムが乱れることが指摘されていますが、それだけではなくて自律神経の調整が乱れると、消化、吸収、循環、代謝、排泄の一連の流れに影響が出てきます。交感神経には消化液(唾液や胃液、膵液など)の分泌を抑える作用があり、副交感神経には分泌を盛んにする働きがあります。通常では交感神経の臓器や器官の働きを高めて、副交感神経が抑えるようになっています。心臓の鼓動を高めるのは交感神経で、逆に抑えるのは副交感神経の働きです。
それなのに逆になっているのは、昼間は交感神経の働きが主で、夕方以降は副交感神経が主となっているからで、消化、吸収を盛んにして身体を休めている間に多くのエネルギー源を取り込むようになっているからです。小腸での吸収も蠕動運動も副交感神経が盛んにして、交感神経が機能を低下させます。
吸収された栄養素は血液中に入って全身に運ばれていきますが、血管をゆるめて運ばれやすくするのが副交感神経で、血管を収縮させて血流を低下させるのが交感神経です。交感神経の働きが盛んになると、血圧も上昇していきます。
筋肉でのエネルギー代謝は交感神経の働きが盛んなときのほうが高まるのですが、肝臓や腎臓、生殖器などは交感神経の働きが盛んになっているときには、心臓や筋肉などの働きを高めることが優先されることから働きが低下します。基本的には内臓や器官は副交感神経の働きが盛んになって、リラックスしているときのほうが働きはよくなっているのです。
大腸の働きも自律神経の影響を強く受けていて、副交感神経では蠕動運動がよくなり、交感神経では蠕動運動が抑えられて、便通に影響が与えられます。リラックス状態になるときは便通がよくなり、活動的なときには抑えられるという仕組みになっています。自律神経の調整は生命維持の基本的なところに関わっているので、発達障害で自律神経の調整が乱れやすい人は、1日の生活に大きなマイナスとなっているということです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)