発達障害サポーター38 遺伝原因説の伝え方

発達障害の原因は何であっても、今さら対応することができないのだから、“原因を追求するのは意味がない”という考え方をする人がいます。実際に発達障害児の毎日の生活、改善支援をしている施設の職員にとっては原因追求をしている時間があるくらいなら、目の前の対応に注力したいという気持ちは当然のように理解できることです。
発達障害の理解を進めるための普及活動では、“発達障害は親のせいではない”ということを保護者だけでなく、一般の方々にも伝えています。発達障害の発現率が10%という状態では、本人の家族に発達障害児がいないとしても、親戚や周囲の住人に範囲を広げたら少なくとも1人や2人は存在していてもおかしくない状況だからです。
しかし、発達障害の原因の一つとして遺伝があげられています。
遺伝の確率は種類(自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害)によって違っていて、注意欠陥・多動性障害では50〜80%、平均すると70%とされています。これは親が注意欠陥・多動性障害であった場合に子どもに注意欠陥・多動性障害が発現する確率を指しています。
遺伝の確率が高くても、遺伝特性があっても生活環境によっても発現が違ってきます。生活環境が原因となるのでは、やはり親のせいではないかという考えもありますが、遺伝には親から子どもにではなくて祖父母から孫に出現する隔世遺伝もあります。隔世遺伝のことを考えると、孫が発達障害だといって母親を祖父母が責めるのは間違いです。
祖父母世代の中には、自分にも家族にも発達障害はいないということを主張する例もあるのですが、発達障害が法的に定められたのは2004年で、医学的に診断が的確に実施されるようになったのは1990年代からです。それまでは発達障害という概念が広がっていないために、発達障害であったとしてもわからなかったのです。また、少子化によって兄弟が少ないことで、遺伝特性があっても、それが現れないまま過ごしてきたという例も少なくないはずです。
遺伝の問題と考え方は、普及の場で講師をする方でも、受講する方でも違っているので、これについては講習テキストでは遺伝も原因になっていることしか記載されていません。どこまで話すのかについては講師の判断に任せているのが現状です。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)