発達障害サポーター43 神経発達症の呼び名への考え

発達障害は、神経発達症候群とも呼ばれます。
アメリカ精神医学会は発行するDSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)「精神疾患の診断・統計マニュアル」には、精神疾患の分類と診断基準が示されています。DSMは精神疾患の診療・診断基準の一つとして世界中の医療機関で用いられているもので、2013年のDSM–5で新たに神経発達症群(神経発達障害群)のカテゴリーが作られました。
DSMの中にある「Disorder」は精神疾患の英語名につけられている用語で、これまでは“障害”と訳されてきました。しかし、障害という用語にはマイナスの印象があり、それが社会的障壁を生み出す要因にもなっていることから、日本精神神経学会の精神科病名検討連絡会が児童青年期の疾患と不安関連の疾患では「Disorder」は「症」と訳すことを決定しました。
この事実をもって、「もはや発達障害とは呼ばない」と主張する人もいるのですが、日本精神神経学会では症と障害の両方の訳語を併記して用いています。
神経発達症群は、日常生活、社会生活、学業や職業などにおける機能の障害を引き起こし、発達期に発症する一連の疾患群をいいます。この定義でも“機能の障害”と説明されています。
機能の障害が起こるのは、神経系の発達の不具合があると想定されていることから、発達の不具合が障害であって、これを改善することが求められています。
では、発達神経症群は、従来の発達障害と同じで、呼び名が変わった(というよりも併用されるようになった)というのかというと、発達神経症群には自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害だけでなく、知的能力障害群、コミュニケーション症群、発達性強調運動症も分類されています。
そういった事実も認識して、発達障害の理解を進める活動に取り組んでほしいのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)