発達栄養は、発達障害児の特殊な栄養摂取状態に合わせた改善法として研究が進められたものですが、発育途中に必要な栄養摂取は誰にも共通することであるので、子どもの発達のための栄養として講習をしています。
とはいっても、発達障害児は自閉症スペクトラム障害でも注意欠陥・多動性障害でも食事に困難さがあり、好き嫌いの範囲を超えた改善への苦労があります。中でも感覚過敏によって視覚、味覚、嗅覚、聴覚、触覚が非常に敏感であるために、食べようとしても食べられない、無理に食べさせようとすると、かえって状態が強くなるということも起こります。
それに対応するための方法を、それぞれの子どもの状態に合わせて実施することに目指した発達栄養の取り組みなら、定型発達の子どもには対応に苦慮することはなくなります。
子どもの食育というと、学校教育の中でも実施されているように、食べ物の意味と意義を知り、栽培や調理の背景を知り、食べ物に感謝をして食べるということは基本となりますが、その知識を得たからといって食べられないものが食べられるようになるわけではありません。
食べにくいものをどうやって食べるのか、極端な偏食によって不足する栄養素をどうやって補うのか、ということを検討するには、食の重要性に子どもも教育者も保護者も、そして発達障害児をサポートする人も気づく必要があります。子どもの気づきは実際の食を進める中で身につけていくとしても、生命維持のために、心身の健全な発育のために、身体のメカニズムを知ることは重要です。そのメカニズムの中でも重要視しているのがエネルギー代謝です。
エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)をエネルギー化するためには、すべての種類の水溶性ビタミンが必要で、充分なエネルギーが作られることによって、心身の活動のためのエネルギーが作られることを理解してほしいのです。そして、エネルギー代謝を中心にして、食べられないものの代わりをどうするか、どのようにアレンジするかを考えていく、そのための知識の普及の重要になってくると認識しています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)