食品や食事についての関心度の低さが子どもの発育に影響を与え、発達障害児の特性でもある極端な偏食には大きな影響を与えています。その実態と背景を考えていくテーマとして“フードリテラシー”をあげています。
リテラシー(literacy)は、読み書きの能力を意味する言葉で、発達障害の一つの学習障害の識字障害、書字障害、算数障害のうちの初めの2つに該当するという見方もあります。しかし、我が国では読み書き能力という意味で使われることはあまりなくて、特定の分野に関する知識や理解能力の意味として使われることが多くなっています。そして、理解するだけでなく、学んで身につけた知識や能力を有効活用する能力について使われることもあります。
リテラシーが低いというと、知識や理解能力が低いことを指すことが多いのですが、その低さの元になっているのは関心度の高さです。フードリテラシー(food literacy)は食品に含まれる栄養成分の知識という意味で捉えられることも多いものの、食品の栄養だけでなく、栄養成分の消化、吸収についても学ぶべき範囲は広がっています。その前の食べるという行為や、さらに前の栽培などの生産、食品の選択、調理も重要になってきます。
人間の身体を構成して、正常に働かせるための知識を、食品や食べることをきっかけにして学んでいくことがフードリテラシーの範囲として期待されています。食事の適正な摂取については厚生労働省と農林水産省によって食事バランスガイドが示されていますが、これに合わせた食行動を起こすことも重要で、そのための教育も重要です。文部科学省による食育も、フードリテラシーに基づくものであると考えられています。
食育というと、今では学校で学ぶ家庭科の範疇を超えて、すべての教科に渡っていて、それぞれの教科との関わりで考えていくものとなりつつあります。ということを示すと、フードリテラシーは学校で教えるものであり、親の仕事ではないという考え方をする保護者が出てきます。本来の食に関する知識と能力は家庭で身につけるもので、家庭科などで身につけるものではないはずです。
発達障害に限らず、子どもの発育に関わる知識と能力を身につけられるように導いていくのが地域の方々であり、その役目を担ってほしい発達障害サポーターにもフードリテラシーについて考えてもらいたいという思いがあります。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)