貧困のために食べたいものが食べられない、食べさせたいものが与えられないという相対的貧困の子どもの割合は約7人に1人(約14%)となっています。これはコロナ禍を経験する前の統計であって、現状は、もっと厳しい状況になっていることが推定されます。
貧困のために食べたくても食べられないというのは量の問題ももちろんあるのですが、それ以上に質の問題があります。質というのは、三大エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)とビタミン、ミネラルの充足を一般には指しています。
発達障害児に限らず、成長過程にある子どもの栄養摂取は身体を作るための栄養成分(三大エネルギー源と同じ成分)が多く必要であるのと同時に、発育や活動のために多くのエネルギーが必要になります。そのエネルギーを作り出すために必要になるのがビタミンとミネラルです。
発達障害児は、極端な偏食が起こりやすく、その対応として不足する栄養素を食べられる食品の中から見つけて、補うようにすることが必要になります。それができていないと、発達・発育のための栄養不足になり、貧困で食べられないのと結果として同じようなことにもなりかねません。
極端な偏食のために食べられないものがあると、なんとかして食事から栄養補給ができるようにしようと考える保護者がいる一方で、子どもが食べたがらないものを無理強いさせるようなことをして嫌われたくない、子どもとの関係を壊したくないと考えて、栄養摂取に力を注がない保護者もいます。
後者のような考え方をする方が出てくるのも、食事の重要性の知識が不足しているフードリテラシーの低さがあるからです。子どもが離乳食のときから食べたがらなかった野菜を食べさせてこなかったという保護者と話をしているときに、最後のほうで「野菜は食べなければならないものですか」と聞かれたことがありました。
30分も時間があれば、講習テキストを用いて必要性を伝えることはできるのですが、そもそもフードリテラシーが低いために一生懸命に学ぼうとするのではなくて、サプリメントや代替食品を求めようとします。親のフードリテラシーの低さが、子どもを貧困状態と同じようにしかねないという実態があることを知ってほしいのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)