発達障害の行動タイプは、消極的に見える自閉症スペクトラム障害と積極的に見える注意欠陥・多動性障害に分けて考えられています。行動や感情の変化は自律神経の影響を受けていると考えられていて、交感神経の交感神経は興奮系、副交感神経は抑制系という特徴があることから、自閉症スペクトラム障害は交感神経の働きが盛んになっていて、注意欠陥・多動性障害は副交感神経の働きが盛んになっていると単純に考えられがちです。
確かに、注意欠陥・多動性障害は興奮しやすく、副交感神経の抑制が効きにくいことから交感神経が働きっぱなしということは事実としてあります。だからといって、いつも注意欠陥・多動性障害は交感神経の働きが優位になっているわけでもなくて、自閉症スペクトラム障害が副交感神経の働きが優位になっているということばかりではありません。
そのことを、栄養摂取と太るということから分析します。食べたものの消化を進めると吸収もされやすくなります。消化液である唾液と胃液の分泌を促進するのは副交感神経で、興奮状態にあるときには消化が低下して、吸収も低下します。注意欠陥・多動性障害では交感神経の働きが盛んになっていて、本来なら副交感神経が優位な状態に切り替わりやすい夕方以降にも交感神経の働きが盛んになっていて、消化・吸収が低下します。そのために、食べた割には太りにくくなります。それだけでなく、交感神経の働きが盛んなときにはエネルギー消費が増えて、行動が盛んになればなるほど余計にエネルギーが使われて、これも太りにくい要因になります。
自閉症スペクトラム障害は抑制系とは言われているものの、それは身体的な活動だけのことで、自閉症スペクトラム障害は学習でも社会生活でもプレッシャーが強くかかり、それに対応するために交感神経の働きが盛んになってしまいます。食事のときにはリラックスして副交感神経系に切り替わってくれればよいのですが、食事のときに緊張感が高まることもあり、そのために消化に影響が出てきます。腸の働きを盛んにして吸収をよくするのも副交感神経で、腸の蠕動運動を盛んにして排泄を促進するのも副交感神経です。ということは、吸収にも排泄にも影響が出てしまい、これが太りやすい要因にもなってしまうのです。