発達障害児の差別解消の合理的配慮

発達障害児の社会的な支援が重要であることは、これまで障害者支援法に掲げられている社会的障壁を取り除くことをあげて紹介してきました。それと並んで、発達障害児の支援に取り組む根拠としている、2016年に施行された障害者差別解消法(正式名称「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」)の内容を紹介します。
障害者差別解消法では、障害がある人の人権が障害のない人と同じように保障されるとともに、教育などの社会生活に平等に参加できるように、合理的配慮をすることが国、地方公共団体、国民の責務とされています。
障害者差別解消法の第二条には、「この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。」として、障害者は「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。」と書かれています。つまり、障害者には発達障害者・発達障害児も含まれているということです。
合理的配慮が行政、学校、企業などの事業者に求められるようになり、必要に応じて可能な限り、合理的配慮を提供することが義務化されたわけです。
障害者差別解消法に基づいた発達障害児の支援のための合理的配慮の一環として、自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害がある子どもが学校などで安心して学び、社会で育つことができるように、発達障害児の理解を進めることを目指した普及活動が求められています。
その基本中の基本が、発達障害者(18歳以上)・発達障害児(18歳未満)の理解を進めるための活動であり、まずは発達障害児の理解のために「児童発達サポーター」の講習を始めていきます。この講習は、これまでのような発達障害の全般的な知識普及では終わらず、発達障害児とその家族が抱える学習障害への理解を深める内容も、発達障害児支援、学習障害児支援、発達栄養支援などの実践経験を踏まえて講習に加えています。