発達障害児は少子化問題の象徴的存在か

次世代を支える子どもは重要な人財であると考えています。2015年現在の子ども(15歳未満)の人口比率は12.5%でしたが、2045年には10.7%に減少すると推定されています。その一方で高齢者(65歳以上)の人口比率は2015年の26.6%から2045年には36.8%にもなり、子どもたちが重要な働き手となる2045年には世界の誰も経験したことがない超少子・超高齢社会となり、ますます現在の子どもたちに大きな期待が寄せられることとなります。
2015年には高齢者1人を2.3人(15〜64歳)が支える状態でしたが、2030年には1.9人になり、2045年には1.4人で支える社会となっています。このように重要な人財には持てる能力を遺憾なく発揮することが望まれているものの、7人に1人が貧困家庭の子どもで、一人親家庭では2人に1人が貧困となっているという現状があります。経済的な状況に加えて、生活環境の変化から身体的に弱い子どもは急増し、病児、障害児の割合も増えています。それとともに問題となっているのは発達障害児の存在です。
発達障害は自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の3タイプに大きく分けられていますが、学習や生活の面で特別な教育的支援を必要とする児童生徒数について、文部科学省が2012年に実施した『通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査』の結果では、約6.5%程度の割合で通常の学級に在籍している可能性を示しています。この約6.5%の発達障害児以外に「何らかの困難を有していると教員が捉えている児童生徒がいる」と注意を促しています。
発達障害者支援法には、地方公共団体の責務として早期発見が明記されていますが、それが充分でないこともあることから、実際に発達障害児は10%に達していると推定されています。発達障害の男女差をみると、文部科学省の調査では男女比は2.4:1の割合と、男子が女子の2.4倍にもなっています。この計算では男子の発達障害は14%にもなります。そんな状況の中、発達障害児が健全に育ち、将来にわたって活躍できる社会環境であってほしいとの願いから、発達支援の活動を進めているところです。