発達障害児は気候の変化に過敏に反応する

生気象学という研究分野があります。気象が人間に与える影響について研究する学問で、中でも健康分野の研究が進められています。その生気象学で最新のテーマの一つとして注目されているのは、発達障害児の気象への反応で、気象の変化が発達障害児の特性に影響を与えて、健康にも影響しやすいことが知られています。気象の健康面への影響は個人差があって、これまでは体質的な違いによるものと捉えられがちでしたが、発達障害児の場合には気象の変化の影響を受けやすく、特に微妙な対応が必要となっています。
発達障害児は低気圧や湿度が高い環境が苦手です。気圧は気体の圧力のことで、気圧が高い状態では大気が身体に与える圧力が高まります。高気圧では血管が圧迫されて、血管が収縮して血圧が上昇しやすくなります。そのために頭痛が起こりやすくなる人がいて、気圧の変化が血流を変化させて体調に影響を与えることになります。気圧の変化に敏感に反応するのは、発達障害が影響していることもあるということです。
湿度も体調に大きな影響を与えます。熱中症は気温の上昇ばかりが注目されがちですが、温度と湿度の関係が重要で、温度が低めであっても湿度が高いと血流に大きな影響が出ます。だから、湿度が高い日には温度が高すぎるほどでなくても、汗が蒸発しにくくなり、体内に残る熱が多くなり、熱中症を起こすようになります。その影響が発達障害児は起こりやすくて、湿度が高くなると一般の人が気温の上昇に対して起こる反応よりも、低めの気温で起こってしまいます。
身体は実際の気温に反応するだけでなくて、前日の気温も影響します。例えば気温が26℃であっても前日が20℃だった場合には、その差の半分の3℃分をプラスして29℃の気温であるように身体が反応するといいます。これにも個人差があるのですが、発達障害児は反応が起こしやすくなっているのです。それだけに湿度が高めのときには、特に熱中症への対応が必要になってくるということです。