人前で子どもを叩く行為は、今では虐待そのものであると考えられるようになっています。虐待防止法が改正され、2020年4月からは親がしつけに際して体罰を加えることは禁止されます。子どもを戒めることを認めた民法の懲戒権も2年をめどに、あり方が検討されることになっています。懲戒権は体罰を容認する口実になっているとの考えによるものですが、しつけでも懲戒でもなく、注意喚起のために子どもを叩くという行為はどうなのかというと、これも虐待と捉えられるような風潮があります。
発達障害のうち注意欠如・多動性障害は、不注意、多動性、衝動性の特徴があり、危険であることへの不注意から駅のホームやバス停などで車両が近づいてきているのに危険を感じずに、線路や道路に飛び出すことがあります。不注意は集中力が続かずに、注意力も続かない状態によって起こるものです。多動性は、じっとしていられない、落ち着きがなくて行動をコントロールできないものです。衝動性は、衝動的な感情が抑えられずに、思わぬ行動を起こします。
関心のある乗り物に近づいていくというくらいなら、体罰と勘違いされるような行動を親も起こさずに済むところですが、ホームに入ってきた電車に早く乗りたくて、まだ動いている電車に向かって突進するということもあります。バス停に向かって来ているバスに対して、道路に飛び出して真正面から向かっていくという例もあります。
そんなことにならないように、駅のホームやバス停では、しっかりと子どもの手を握っている、犬じゃあるまいしなどと言わずに腰紐をつけておく、ということが言われることがありますが、それが不十分であると、いきなり飛び出すことがあります。その急な行動に対して、手を引っ張る、抱きかかえるということが、すばしっこい子どもには間に合わないことがあります。声をかけるだけでなく、手を出して、それでストップをかけさせるということが必要な子どもがいるのです。
そのことについても発達障害を理解してもらうための講習で伝えさせてもらっています。