発達障害支援20 親子の発達障害の確率

兄弟姉妹の発達障害の発現確率について、前回は自閉症スペクトラム障害を例に紹介しましたが、これを受けて親子の発現率についての研究結果について紹介します。

その研究が進んでいるのは発達障害の注意欠陥・多動性障害についてで、親が注意欠陥・多動性障害であった場合には子どもの約70%に注意欠陥・多動性障害がみられると報告されています。

これは世界的な調査で、条件によって違いがあって、50〜80%の確率で、平均すると76%となるという報告もあります。親が注意欠陥・多動性障害でなかった場合の発現率の5〜10倍高くなっています。

発現率が高いことについて、何が影響しているのかの研究が進み、遺伝要素として神経伝達物質のドーパミンやアドレナリンの分泌を増やす受容体の働きを高めすぎることと、セロトニンの分泌を増やす受容体の働きを抑えることが考えられています。現状では、興奮状態を抑えるセロトニンの分泌を少なくする遺伝子の影響との考えが有力となっています。

発達障害の発現率は10%と考えられています。文部科学省の調査では小学生・中学生のうち通常学級で学ぶ子どものうち、教師が把握している割合として8.8%と発表しています。これから考えても、10%(10人に1人)の発現率は一般の認識とも一致しています。

発達障害は生涯にわたって特性が継続する特徴があるので、親が発達障害であった場合の子どもの発現率は20%となります。親は2人いるので、5人に1人の確率です。

父親の受精時の年齢が高くなるほど発達障害の発現率が高まるとの研究もあります。中でも増えているのは注意欠陥・多動性障害です。20歳に比べて30歳では発達障害に関わる遺伝子の変異が2倍以上になるとの報告もあります。女性の出産年齢が高まり、それにつれて父親の年齢も高くなっています。

今後は、さらに親子で発達障害である確率が高まってくることが予測されるだけに、その研究と対応策の検討が重要になっていきます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕