発達障害支援21 リハビリテーションと“ハビリテーション”

発達障害支援の原稿の中に「ハビリテーション」と書いて提出したところ、発行された文書を見て驚かされました。なんと「リハビリテーション」となっていました。校正の段階で、どなたかに修正された結果です。

リハビリテーション(rehabilitation)とハビリテーション(habilitation)の違いですが、先に一般に知られているリハビリテーションのほうから説明すると、「元の状態に回復させる治療」を指しています。これに対してハビリテーションは「幼少時からの障害を対象として持っている機能を活かして発達させる治療」です。

治療(治す)というよりも、元々ある能力を伸ばしていくということで、成長過程の子どもを対象としていて、発達障害の療法の考え方の一つと認識されています。

発達障害の改善では、脳機能の根本となる脳幹の機能を高める方法が重視されていますが、それと同時に改善のために必要とされている技術的な部分にアプローチする方法があげられます。

発達栄養を例にすると、感覚過敏から食べることができないほどの苦手となることがある子どもに、五感(味覚、触覚、嗅覚、聴覚、視覚)の感覚を弱めるようにしてあげても、噛むために必要な歯と口腔の状態が整っていなければ改善の手法が通じにくくなります。

食べるために必要な機能を高めることは、栄養に関わる機能を発達させるために欠かせない条件となります。しっかりと噛んで、充分に咀嚼することができれば、飲み込むことができるというのが一般的な感覚かもしれませんが、飲み込むためには喉の筋肉の働きが充分にあり、喉の感覚が正常に働いていることが必要となります。

舌の使い方や吸い込む力の強さも大切で、これらの能力が低い場合には、機能トレーニングとしてのハビリテーションが必要になってきます。飲み込む能力(嚥下機能)が低いと飲み込みに時間がかかり、飲み込みにくい状態が食事をすることへの抵抗感を生むことにもなることから、こういった当たり前と思えるようなトレーニングも重要になります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕