「三つ子の魂百まで」は、幼いころの性格や性質は年を取っても変わらない、という意味の諺(ことわざ)ですが、単に数ある諺の一つではなくて、発達障害の改善支援に取り組むときの大きなテーマとして話をする機会が増えてきました。
“物心がつく年齢”というと3歳後半を指すことが多く、この時期は3歳児健診の機会と一致しています。3歳児健診では、身体的な発育状態とともに心理的な発育状態の健康診査も行われます。
100歳まで続くかどうかは、まだエビデンス(科学的根拠)がいないので定かではないのですが、生まれつきの特性である発達障害は、改善は可能であっても、その特性は生涯にわたって続きます。
「三つ子の魂」の“魂”を精神や気力という意味ではなく、発達障害の場合には特性と解釈されることが多いのですが、発達支援に携わっていると、“生まれながらの才能”と表現するのが正しいと感じます。特性を社会に合わせて変えさせる、社会と付き合っていけるように慣れさせるということよりも、才能を花開かせることが重要ということも理解してほしいことです。
才能は個人の資質そのものではなくて、工夫や訓練によって発揮されるもので、物事を成し遂げる力です。本人に任せるだけでは才能はあっても発揮しにくく、才能が発揮されたら、それを継続させ、社会の仕組みの中で、どのように活かすようにするのか、それを保護者だけでなく、周囲の方々も考える必要があります。
そのような環境を作っていくためには、まずは地域の理解が重要となります。“人生100年時代”というと介護やお金の問題ばかりが着目されがちですが、「三つ子の魂」が「百まで」活かされるようにするのは行政も地域の団体も、そして地域で暮らすすべての人も含めての責務です。
これは勝手に考えていることではなくて、発達障害者支援法に書かれていることです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕