発達障害支援25 コロナ禍の発達の影響

コロナ禍が就学児の学力などに影響を与えたことに関する研究は、厚生労働省や文部科学省から民間の研究機関にいたるまで数多く実施されてきましたが、乳幼児の発達に関する調査は、ほとんど行われていません。

そこで京都大学、筑波大学、慶應義塾大学、東京財団が共同研究として首都圏の自治体の全認可保育所に通う乳幼児の調査を行いました。これは1歳または3歳の乳幼児887名を対象としてコロナ禍前に実施された調査と、追跡期間中のコロナ禍を経験した群、そうでない群で3歳または5歳の発達を比較しています。

KIDS乳幼児発達スケールを用いて分析した結果、コロナ禍を経験した群は、そうでない群とでは5歳時点では平均して4.39か月分の発達の遅れが確認できたと発表されています。その一方で、3歳時点では明確な発達の遅れはみられず、むしろ発達が進んでいる領域もありました。

その領域は、運動、手指の操作、抽象的な概念理解、対子ども社会性、対成人社会性です。また、コロナ禍で3歳、5歳ともに発達の個人差・施設差が拡大していることも明らかにされています。

質の高いケアを提供する保育園に通っていた子どもは、コロナ禍においても3歳時点での発達がよい傾向がありました。これはコロナ禍で在宅勤務が増えたことが関係していると考えられています。

また、保護者が精神的な不調を抱える家庭の子どもは、コロナ禍で5歳時点での発達の遅れが顕著となっていました。

これは一般の子どもの場合で、発達障害児が調査対象ではないものの、発達障害児は質が高いケアが受けられることが少なく、保護者に精神的な負担がかかっていることが多いことから、より強い影響があったことが推測できます。

コロナ禍では子どもにメンタルヘルスの問題が増え、睡眠の質が下がり、運動不足や体重が増加する子どもが増えたことが明らかにされています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕