マニュアルどおりの接客は顧客には、あまり好まれるものではなく、来店を本当の感謝している、全力でサービスをしているようには感じられないという人も少なくありません。しかし、迎える側にするとマニュアルがないと上手に接客できないという人もいて、あえて紋切り型の接客トークをよしとしているところもあります。
飲食店は、今や正社員は少なくて、パートやアルバイトの力なしには運営できない状態で、しかも長くは勤めないという傾向もあります。新たに入ってきた人でも、すぐに他のスタッフと同じように接客できることを重視して、紋切り型の接客マニュアルを使い続けているところもあります。
これには賛否があるものの、接客に慣れていない人はもちろんのこと、他人と触れ合うことを苦手とする人であっても対応が可能なマニュアルは大切な存在となっています。他人との触れ合いが苦手で、社会的コミュニケーションがうまくいかない発達障害の人にとっては、特にマニュアルはありがたい存在です。接客では、書かれたとおりのことをすればよいというわけではないものの、マニュアルは最低限の接客ができるように書かれているので、店に迎え入れて、注文を受けて、料理を提供して、片付けて、会計をして、送り出すという一連の流れをこなすことができます。
こんな接客マニュアルでは味気ない、せっかくの美味しい料理も、本当の美味しさが伝わらないという声があるものの、コミュニケーションが苦手な発達障害の人にとっては、味気ない接客マニュアルはありがたい存在です。というのは、ただマニュアルに従うだけでよいということではなくて、紋切り型のマニュアルでの対応であっても、すんなりと受け入れて、特に文句を言うわけではなく利用してくれる客は、変則的な対応を求めるようなことが少なくて、安心して接客ができるということを言っています。
紋切り型の接客をすすめているわけではなくて、発達障害者が同年代の10%もいるという状態では、発達障害者でも対応できるマニュアルを導入することによって働ける場所を増やすことを考えるべきだということを伝えたいのです。