睡眠ガイド54 子育て期の睡眠と健康への影響

厚生労働省から、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が発表されました。

以下に、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」の「妊娠・子育て・更年期と良好な睡眠について」の「子育て期の睡眠と健康への影響」を紹介します。

〔子育て期の睡眠と健康への影響〕
生まれたばかりの赤ちゃんは、数時間おきに寝たり起きたりを繰り返します。授乳と夜泣きへの対応で、養育者の睡眠も細切れになります。養育者にとって、睡眠を確保することは心身の健康を守るために重要です。

数時間おきに寝たり起きたりを繰り返していた赤ちゃんも、生後数週間経過すると、徐々に夜眠る時間が延びるとともに昼間起きている時間が長くなり、大人の睡眠・覚醒リズムに近づきます。

睡眠・覚醒リズムの確立を助けるために、夜は部屋を暗くし、朝になったらカーテンを開けて部屋を明るくしましょう。夜泣きがあると養育者も眠れずにつらい思いをします。

米国の研究では、しばらく対応せずに様子をみる方がそのまま眠れることが増え、夜泣きが減ると報告されています。わが国では、赤ちゃんが泣くたびに抱き上げてあやすことが多いと思いますが、あやしても赤ちゃんがなかなか寝つけない場合、住宅事情で難しい場合もありますが、一呼吸おいてみてもよいでしょう。

赤ちゃんが自分で寝返りができるようになる1歳頃までは、柔らかすぎる寝具を避け、寝かせるときは仰向けに寝かせましょう。窒息事故や、何も既往歴もない乳幼児が、予兆なく睡眠中に突然死に至る、乳幼児突然死症候群という病気が報告されており、発症予防のための対策が推奨されています。養育者の喫煙もリスクになると報告されているため、禁煙を心がけましょう。

女性の10〜20%が産後うつを経験すると報告されています。特に著しい睡眠不足や夜間の中途覚醒が多い人は、産後うつのリスクが高くなります。

以前と比べると、母親だけでなく父親が育児に関わる時間はかなり増加しており、こうした関与は母親の健康を守るだけでなく、赤ちゃんにも有益であることが示されています。

乳幼児から小学生頃までのこどもは、錯乱性覚醒(寝ぼけ)、睡眠時遊行(夢遊病)、夜尿(おねしょ)など睡眠の問題が生じやすく、心配される養育者も少なくありません。

こどもの睡眠の不安定さや症状は、睡眠の熟成の過程で一時的に出現することが多く、年齢とともに自然に消失するケースがほとんどです。例えば、錯乱性覚醒の発生率は3〜13歳では17%ですが、15歳以上では3%程度です。睡眠時遊行症は8〜12歳がピークといわれています。

ただし、睡眠時間が極度に不足したり、生活が不規則になると、睡眠症状が増えるため、規則正しく、安心して就寝できる睡眠環境を整え、十分な睡眠時間を確保することを心がけてください。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕