社会福祉連携推進法人とは何だろうか

厚生労働省は、社会福祉法人が大規模化や協働化に円滑に取り組めるように、検討会を設けて、「社会福祉法人の事業展開等に関する検討会報告書」を発表しました。社会福祉法人の大規模化や協働化の方法として、社会福祉協議会による連携や社会福祉法人の法人間の連携、社会福祉法人を中核とする非営利連携法人制度の創設、希望する法人が合併・事業譲渡に円滑に取り組めるような環境整備を提言しています。
この中でも重要な事項として注目されているのは、社会福祉法人を中核とする非営利連携法人制度の創設です。これは現状で多く実施されている人材の連携などと、合併・事業譲渡の中間的な対処法として提案されていることで、社会福祉法人が地域の福祉サービスを提供していくための組織として、社会福祉法人を中核とする非営利連携法人である社会福祉連携推進法人を創設して、新たな展開をしていくことを目指しています。
その報告書が2019年の12月に発表され、2020年の通常国会で関連法の改正案が提案されることとなっています。
社会福祉連携推進法人の業務としては、①地域包括ケアシステムの構築を含めた地域共生社会の実現に向けた連携、②災害対応に係る連携、③福祉人材確保・育成、④本部事務の集約や生産性向上のための共同購入などの社会福祉事業の経営に係る支援があげられています。つまり、社会福祉事業ではなく、連携の推進が目的とされているということです。
この事業は社会福祉法人と社会福祉法人との間での実施だけでなく、NPO法人(特定非営利活動法人)、医療法人、企業も参入して、それぞれが得意とする専門性を活かして、目的を達成することとしています。
この中で最も注目されるのは、地域共生社会の実現で、社会福祉法人が連携して、地域の共生、つまり障害者も健常者も、子どもも高齢者も、状態や年齢に関係なく、等しく幸せを感じることができる事業の実践が期待されているのです。