“稼ぐ力”が自治体から求められる

公的な事業や公共団体の仕事を受けるとき、以前だったら「損だけはしないようにしてください」と、本来なら仕事を出す上の立場の役所や団体から言われたものでした。公(おおやけ)の金、つまり税金を使うのだから、「儲けろとは言わないが、少なくとも損だけはしないようにしてくれ」という意向を伝えられても、実際に損をしないことだけに気を使っていれば“成功”と言われた時代があったものです。
ところが、今では、損をしないどころか「支援なり補助金なりがなくなっても事業が続けられるだけの力をつけて、しっかりと稼いでくれ」と言われるようになりました。これは民間の論理からすると、まだ甘いと言われるかもしれません。民間だったら、「初年度から黒字にしてくれ」、「少なくとも3年で黒字転換、6年で投資金額分を回収して、それ以降はプラスを継続し続けろ」と言われるのが当たり前の時代です。これでもまだまだ甘いと言われるかもしれませんが。
しっかりと稼げる仕組み、稼ぎ続ける体制を作ることは“稼ぐ力”と表現されます。公の金を使うのだから、資金が出なくなってもつぶれないだけの力をつけろというのは、経済産業省から補助金をもらっての事業を始めるときに、選考委員から何度も言われました。何度も言うということは、言っても言うことを聞かないところがあると言うことで、言われている側も“実際には、やってみたけれど資金不足になったので、なんとかしてください”と言える余地があったということでした。
ところが、地方創生の補助金の使い方の項目で“稼ぐ力”“自立自走”と言う言葉が使われるようになってからというもの、補助金が出ているうちに稼ぐ力をつけるのは当たり前のこと、稼ぐ力をつけられなかったら、それまでの補助金を丸々返せという雰囲気になっています。雰囲気どころか実際に返金を求められた例もあります。
具体的に何を言っているのか気になる人がいるであろうことは承知していますが、具体的なことは現在進行形で、実際に補助金を受けて、稼ぐ力をつけなければならない立場としては詳しくは紹介できないところですが、地方において、ずっと続く健康づくり事業を実施することは責任が重いと同時に、稼ぐ力を持っている団体への支援は、以前にも増して実施しやすくなっているということです。
私たちがやろうとしていることは、地域に暮らす方々が参加したくなり、参加するだけでなくて自分がリーダーになって地域に広めたくなること、先生として教えることだけでなく地域に実施団体の会長や役員になって続けていくことができる体制づくりです。実際に実施するのは運動のための実践法と知識を身につける講習となりますが、地域の特定の層が参加するだけでなく、高齢者が参加するプログラムなら子供も孫も参加して三世代に盛り上げていくことができます。その次の世代、さらに次の世代と続いていく仕組みとプログラムでなければ、稼ぐ力を継続させることができなくなります。
稼ぐ力の実際の事業については、近いうちに、お知らせすることができると思います。