筋肉運動で脂肪の燃焼効率が高まるのか

全身の細胞にはエネルギーを作り出すミトコンドリアがあり、筋肉細胞にはミトコンドリアが多く存在しているので、筋肉が多いほどエネルギー産生が高まります。1日に使われる消費エネルギー量のうち約70%は基礎代謝で、その基礎代謝の35〜38%は筋肉が消費しています。この筋肉の消費エネルギー量は、もちろん筋肉量によって変わってくるわけですが、筋肉を増やすことでエネルギー産生が高まるので、余分な体脂肪が減らせるという印象が抱かれがちです。
その印象を活かして、テレビコマーシャルでは筋肉トレーニングのシーンを出して、体脂肪の減少効果を支えて、それにプラスするサプリメントが紹介されていました。ここではサプリメントの効果の話ではなく、筋肉トレーニングで筋肉を増やせば体脂肪が減るのか、という話をさせてもらいます。
筋肉には白筋と赤筋があり、これが入り混じって筋繊維となっています。無酸素運動の筋肉トレーニングで鍛えられるのは白筋で、白筋がエネルギー源としているのはブドウ糖です。それに対して、有酸素運動によって鍛えられるのは赤筋で、赤筋がエネルギー源としているのは脂肪酸です。脂肪細胞に蓄積された中性脂肪は、運動によってアドレナリンが分泌されると脂肪酸に分解されて、その脂肪酸が血液中に放出されます。
運動によって脂肪を燃焼させやすい身体にするためには、赤筋を増やすことが大切で、そのための運動は有酸素運動のウォーキングやジョギングなどとなります。テレビコマーシャルのように白筋を増やす筋肉運動をしてもブドウ糖の消費を増やすだけで、脂肪が燃焼するだけではないと言われがちですが、勢いよく歩くためにも走るためにも白筋のパワーは必要です。
また、運動によってブドウ糖を多く燃焼させるということは、血液中のブドウ糖が減って、ブドウ糖が肝臓で脂肪酸に変化する量を抑えることができます。このことによって、蓄積のほうを減らすことができるわけで、効果がないということではないことだけは伝えたいと思います。