糖尿病の基礎知識14 血糖値改善の運動

日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド」では、運動について紹介されています。

◉運動の種類:インスリン感受性を増大させる有酸素運動と筋肉量を増加し筋肉増強効果のあるレジスタンス運動がある。肥満糖尿病患者では、両者を組み合わせた水中歩行が膝への負担も少なく安全で有効な運動である。

◉運動強度:最大酸素摂取量の50%前後が推奨される。強度の程度は心拍数で判定し、50歳未満では1分間に100~120拍、50歳以降では1分間100拍以内に留める。または「楽である」または「ややきつい」といった体感を目安にする。

◉運動負荷量:歩行運動では1回15~30分、1日2回、1日の運動量として歩行は約1万歩、消費エネルギーとしてはほぼ160~240kcal程度が適当とされる。

◉運動の頻度:日常生活の中に組み入れ、できれば毎日、少なくとも1週間に3日以上の頻度で実施する。

◉インスリンやスルホニル尿素薬(SU薬)を用いている人では低血糖に注意する。

※運動療法を禁止した方がよい場合として、①糖尿病の代謝コントロールが極端に悪い場合(空腹時血糖値250mg/dl以上、または尿ケトン体中等度以上陽性)、②糖尿病網膜症(増殖網膜症・増殖前網膜症)による新鮮な眼底出血(眼科医に相談)、③顕性腎症後期以降の腎症(血清クレアチン:男性2.5mg/dl以上、女性2.0mg/dl以上)、④虚血性心疾患や心肺機能障害(専門医の意見を求める)、⑤急性感染症、⑥高度の糖尿病自律神経障害がある。

運動を制限した方がよい場合として、①骨・関節疾患(専門医の意見を求める)、②糖尿病壊疽、③単純網膜症、④重症高血圧(収縮期180㎜Hg以上、または拡張期血圧110㎜Hg以上)がある。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕