糖尿病の基礎知識6 合併症の特徴

「糖尿病で死ぬことはない」とは、検査を受けて高血糖を指摘された人が、よく口にする言葉です。こういった感覚が、糖尿病の受診を遅らせる原因となっています。

糖尿病になったからといって、それだけで亡くなることはないものの、年間の死亡原因を見ると、糖尿病は以前は第10位前後でした。今では順位は下回っていますが、それでも年間に約1万6000人が亡くなり、数としては増えています。

その多くは合併症によるものです。

糖尿病の合併症で亡くなる人の多くは腎症によるもので、これは細くて弱い細小血管がもろくなることによって起こります。

高血糖状態が5~10年も続くと、細小血管が高濃度のブドウ糖にさらされ、血管細胞内にブドウ糖が多く入り込み、新陳代謝が弱まっていきます。これによって血管の弾力性が失われていくようになり、血流が大きく低下するようになります。

また、赤血球によって運ばれる酸素量が減るために、全身の細胞に届けられる酸素が減り、このことも新陳代謝に影響を与えます。

これは古くなったゴム管がボロボロになっていくのと似た状態であり、ボロボロになったゴム管が元には戻らないのと同じように、血管も高血糖にさらされ続けると、元には戻りにくくなります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕