糖尿病の基礎知識7 三大合併症

糖尿病の合併症の中でも発症数が多い腎症、網膜症、神経障害は三大合併症と呼ばれています。

◎腎症
慢性腎不全によって人工透析を始める人は年間30万人を超えていますが、そのうち約44%は糖尿病性腎症が原因で、もともと腎臓に原因があった人の割合を上回っています。

糖尿病性腎症で人工透析を始めた人の寿命は、それ以外の腎機能障害が進行して人工透析を始めた人よりも、年齢によって違いはあるものの5年ほども短くなっています。

一般の腎臓病は血液を濾過する糸球体が徐々に侵されていくのに対して糖尿病性腎症は細小血管だけでなく、糸球体も全体的に侵されるために合併症の進行が早くなります。

◎網膜症
糖尿病性網膜症では亡くなることは少ないものの、1年間に新たに約3000人が視覚障害になり、障害者手帳を交付されています。この多くは失明にまでいたっています。失明のほとんどは網膜剥離によるものです。

目は機能維持に多くの酸素を必要としていますが、血管がもろくなると運ばれる酸素量が少なくなります。そのため新しい血管を作り出します。この血管は弱く、ショックを受けたときに網膜ごと剥がれ落ちることがあります。

◎神経障害
神経障害は、合併症の中では比較的早く現れやすく、細小血管が傷んで神経細胞に血液が充分に送られなくなることから起こります。知覚神経の感覚が鈍くなっていると、足にできた傷が気づかないうちに悪化して壊疽(壊死を起こして部分的に腐っていく)となり、足の指や足の切断までいたる人も多くなっています。

壊死になるのは糖尿病によって免疫力が低下していくことも関係しています。
神経障害は知覚神経だけでなく、自律神経にも起こり、体温の調整が乱れ、ホルモン分泌に悪影響が出ることにもなります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕