糖質だけの朝食だと昼食を勢いで食べてしまう

朝食を食べているという人に何を食べているのかを聞いてみると、パンにジャムを塗って、あとはコーヒーか紅茶だけという人がいます。これは国民健康・栄養調査の内容からすると欠食ではなく食事をしていることになります。欠食と見なされるのは、飲み物だけ、サプリメントだけという人なので、一応は食事をしていることになります。
パン食だから、こんな内容になるので、ご飯をすすめる専門家もいます。専門家というのは医師、栄養士、保健師などですが、これはご飯を食べるときには、おかずも汁物もつくという前提で考えているからです。ところが、中には白米だけを食べている人もいて、これだけでは食べにくいからとお茶をかけている、暑い季節には水をかけて流し込んでいるという人もいます。白米にはたんぱく質も脂質も含まれているといっても、ほとんどが糖質です。
これは極端な例としても、糖質が中心となっていると、食事をしてから、すぐに空腹を感じてしまいます。糖質は消化されやすくて、すべて糖質を食べた場合には2時間ほどで消化が終わり、お腹がすいて何か食べたくなります。これがダイエットをうまくいかなくさせる要因ともなっています。昼食を空腹を満たすために勢いで食べてしまう人は、糖質中心の朝食になっているかもしれません。
これに対してたんぱく質は消化に約4時間、脂質は約6時間かかります。たんぱく質と脂質が含まれた食品を食べると腹持ちがよくなるわけです。だから、おかずは大切で、ダイエットのために脂肪は避けなければならないというのではなく、少しの量なら上手に使うと空腹を感じにくくなって、ダイエットに役立つことになります。
そうはいっても、糖質メインの朝食を改善するのは難しいという人は少なくありません。誰か他の人が作ってくれるわけではない人は作る時間がないというのが大きな理由になっていることが多いようです。それなら前の日に作り置きをしておくか、出来合いのものを買ってきておいて朝に食べるという方法がすすめられますが、これも難しいという人もいます。となれば、糖質の食品を食べても空腹を感じにくくなることを考えたいところです。
ご飯なら玄米には食物繊維が多く含まれています。パンでもライ麦パンのように食物繊維が多いものはあります。食物繊維は消化されないものですが、消化液は食物繊維が多いと、そこに使われるので糖質の消化に時間がかかるようになります。その分だけ空腹を感じにくくなります。
糖質にはブドウ糖が多く含まれていますが、早く消化されてブドウ糖が急に吸収されると血糖値が大きく上昇して、膵臓からインスリンというホルモンが多く分泌されます。このインスリンによってブドウ糖は細胞の中に取り込まれて血糖値が下がります。空腹感と満腹感を判断する脳の中枢は血糖値に反応しています。空腹感のほうは摂食中枢、満腹感のほうは満腹中枢が担っています。
インスリンが多く分泌されると血糖値が下がって、空腹を強く感じるようになります。こうならないようにするために用いられるのが食物繊維です。食物繊維が多い食事では、血糖値が急上昇しないのでインスリンの分泌量も少なくなります。そのために血糖値が急激に下がることがなくなるわけですが、何もご飯やパンに食物繊維が含まれていなければならないわけではありません。おかずで食物繊維を摂っても同じことです。