糖質の代謝を理解してダイエット

糖質の中で主にエネルギー源として使われるのはブドウ糖です。ブドウ糖はブドウから初めて発見されたことから命名されました。ブドウ糖の主としてミトコンドリアの中でエネルギー代謝が行われますが、ミトコンドリア以外でも一部のエネルギー代謝が起こっています。ブドウ糖のエネルギー代謝には体内に取り込まれた酸素を使わないままエネルギーとする解糖系の代謝と、酸素を使う有酸素系の代謝の2つの系統があります。
解糖系の代謝はミトコンドリアの外側で起こっています。ブドウ糖は酵素の働きによってピルビン酸に変化して、その過程でエネルギーが発生します。この場合にはブドウ糖1分子当たり、2分子のエネルギー物質であるATP(アデノシン三リン酸)が発生します。酸素が使われない場合のほかに、激しい運動によって酸素が不足したときにも解糖系のエネルギー代謝が行われます。
これに対して有酸素系の代謝では、ブドウ糖1分子当たり36分子のATPが発生します。2分子に対して16倍にもなるわけです。ピルビン酸は酵素の働きによって補酵素のアセチルCoAに変換され、これがミトコンドリア内のTCA回路(Tricaboxcylic acid cycle)に入ります。TCA回路はミトコンドリア内で起こる9段階の代謝回路で、アセチルCoAはクエン酸に変化して、次々と別の酸に変換されていきます。クエン酸から始まることからクエン酸回路、TCA回路の発見者のドイツの化学者ハンス・クレブスにちなんでクレブス回路とも呼ばれています。
このエネルギー代謝を高めるためには、クエン酸が多く含まれる食品を摂ることが有効だとされるのは、TCA回路がクエン酸から始まることに関係しています。クエン酸が多く含まれるのは、柑橘類(みかん、オレンジ、グレープフルーツ、レモンなど)、梅干し、黒酢などです。
TCA回路では、それぞれの酸が酸素との反応によって次々と変化し、二酸化炭素を発生させたあと水と36分子のATPを発生させます。ATPは塩基のアデニンに糖のリボースが結合した形で、これにリン酸が3個結合しています。ATPからリン酸が1分子外れてADP(アデノシン二リン酸)になるときに生体の活動に必要なエネルギーが発生します。ADPはTCA回路でリン酸1個が結びついてATPに合成されます。
ATPは発生した細胞の中でのみ使われるもので、他の細胞に伝達されることがない、“地産地消”のような性質となっています。