納豆は豆が納まると書きます。豆から作られたものが納まっているものといえば豆腐です。豆腐は豆が腐ると書きますが、豆が腐ったように見えるのは納豆のほうです。このことから納豆と豆腐が中国から日本に入ってきたときに文字が入れ替わったのではないか、ということを日本メディカルダイエット支援機構の理事長が日本豆腐協会のサイトのコラムに初めて書いたのは2003年のことです。
答えは実は初めからわかっていて、“腐”という文字は中国では柔らかいことを指していました。“腐”の冠の府は庫(くら)を意味していて、獣の肉を庫に入れて保存しておくと死後硬直で固くなったものが、だんだん食べられるように柔らかくなっていきます。そこから他の食品でも、プヨプヨとした柔らかくなったものに“腐”が使われるようになり、柔らかい豆ということで豆腐となりました。このことは今では定番として、豆腐の話題に使われるようになっています。
日本豆腐協会の仕事の前に、全国納豆協同組合連合会の仕事の一つとして納豆の広報も行っています。そのとき(2002年)に書いたのが納豆を主にして豆腐と入れ替わったのではないかということで、これは今では広報サイト(納豆PRセンター)では省かれています。納豆は僧侶が寺院で出納事務を行う納所(なっしょ)で作られたことから名づけられました。
ということで、正解は入れ替わったわけではないということですが、今も子どもから聞かれることが多い話題です。いきなり正解を述べるのではなくて、まずは着目の素晴らしさを誉めてあげて、漢字の面白さを一緒に楽しんでから、子どもの関心が強ければ正解を話すことをコミュニケーションの手法としてすすめています。