素食のすすめ13 フルーツオイルの正体

植物油は動物性の脂肪よりも健康的なものだという認識が一般にはあります。動物性の脂肪には飽和脂肪酸が多く含まれていて、飽和脂肪酸の摂りすぎは動脈硬化のリスクを高めることから、避けるべきものと伝えられることが多くなっています。

それに対して植物油は不飽和脂肪酸が多く含まれていて、不飽和脂肪酸は動脈硬化のリスクを低下させることが知られています。そのため、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」でも、脂肪の摂取割合はエネルギー量では20〜30%とされていて、そのうち飽和脂肪酸は7%以下とすることがすすめられています。

植物油の中でも果実油であるオリーブオイルやココナツオイルにはオレイン酸が多く含まれていて、血液中の善玉コレステロール(HDL)を減らさずに、悪玉コレステロール(LDL)を減らすことが確認されています。

「果実油」と書かれていれば、安心できる植物油という認識をすることができるかもしれませんが、「フルーツオイル」「フルーツ油」と書かれている場合には果実油と同じものと認識するのは危険なことです。

翻訳的には果物はフルーツと訳されても特に問題はないと考えられるところですが、オイル(油)の名称となると同じではありません。フルーツオイル(フルーツ油)に使われているフルーツはパームヤシです。パームヤシは通称で、正式の名称はアブラヤシという植物です。そのアブラヤシから採れる植物油がパーム油(パームヤシ油)です。

パーム油にはパルミチン酸が多く含まれていますが、パルミチン酸は飽和脂肪酸です。

パーム油はパームヤシから採れることから、ヤシ油と勘違いされることもあります。ヤシ油はココヤシから採れるココナツオイルで、パーム油とは違っています。

パーム油は飽和脂肪酸が多く含まれるために酸化しにくく、揚げ物などをカラッと揚げることができる、冷めてもおいしいというメリットもありますが、何よりも他の植物油よりも安いのが大きなメリットとされています。

パーム油は日本の油脂供給量の25%以上を占めていて、外食産業のほか菓子類やマーガリン、ショートニングなどにも使われています。フルーツオイルを避けても家庭で食事をしていなければ口から入ってきてしまうのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕