品種改良によって野菜は見た目がよくなり、食べやすくなり、栽培もしやすくなり、運送中の傷みも少なくなり、中には調理が楽になったものもあります。これはよいことではあっても、肝心な中身が伴っていなければ仕方がありません。
品種改良によって扱いやすくなり、美味しくなったというプラスがあった反面、栄養素の低下というマイナスが起こっているものもあります。その代表とされるのが、ほうれん草で、ビタミンCが比較対象とされています。
ほうれん草は、以前はアク抜きとして茹でないと食べられなかったものが、今では茹でる必要がない、生サラダで食べられるものも登場しています。
食品成分表は1947年(昭和22年)に初版が発行されてから、何度か改訂版が発行されています。ほうれん草の項目を見てみると、過食部100g当たりのビタミンCの含有量は150mgでしたが、版を重ねるたびに100mg、65mgと低下して、今は旬と旬以外の含有量が発表されています。旬は60mg、旬以外は30mgとなっています。
それ以前は、1年間の平均値であったので、今の旬の含有量は以前の平均値よりも少なくなっているということです。
ちなみに、ほうれん草の旬は秋で、春から夏の暖かい・暑い時期には含有量が大きく低下しています。
最も含有量が多かった時代には、無農薬・有機栽培であったので、育て方によって含有量が増えるのではないか、と考えられることもあります。当時のほうれん草は表面がギザギザした感じでしたが、これは品種としては東洋種でした。今はツルッとしているものは東洋種と西洋種の掛け合わせで、品種が違っています。
品種が違っていて、品種改良が進んで、栄養価が低下しているだけに、無農薬栽培であれば栄養価が高いというわけにはいかないのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕