給食には心をつなぐ意味がある

給食というと大量に作った料理を小分けにして、それを所属する人で一緒に食べることを指しています。学校給食や保育園給食・幼稚園給食、産業給食、病院給食、福祉給食、自衛隊給食まで給食業界は多岐に渡っています。中には街頭給食という炊き出しまでありますが、同じものを一緒に食べるのは、ただ栄養素を補給するだけでなく、精神的な部分も大きくて、中でも宗教の給食施設を取材したときには、改めて食事の重要性を感じさせられました。
その宗教では、教祖様は今も存在しているとして、教祖様に供える食事と一緒にものを食べることが重要な行いとなっています。そのために東洋一とされる給食施設があり、コンベア式の大量炊飯が行われ、ズラッと並んだ調理釜に同じ食材が入っているだけでなくて、調理する人が掛け声をかけて同じ姿勢、同じ角度、同じタイミング、同じ時間をかけて混ぜるということをしています。
ここで作られた給食は配送先の施設用に分けられて、配送車が宗教施設だけでなく関連する学校などにも配っていきます。この配送は基本的には昼食だけですが、スポーツでも有名な高校と大学では昼食は米飯となっていたわけです。
施設を見て驚いたのは、すべての厨房機器が2レーンあって、それを毎日、交互に使っていたことです。1レーンを使い、もう1レーンは休ませることで長持ちさせようということではなくて、食事が重要な行いになっているため、万が一にも故障して給食が作られないことがあってはならないからです。中でも全国から信者が集まる祭事の日には食事なしということは絶対にあり得ないわけです。
作るだけでなく、洗浄も重要で、2レーンは常に同じように洗浄されて、使う前と同じ状態が保たれています。これこそが洗浄の基本であって、使っているうちに汚れていく、それは仕方がないこと、という発想は存在していません。それは食器も同じで、どんな人が食べても同じ状態でなければならないので、食器の洗浄も完璧です。そして、食中毒もあってはいけないことなので、「安全面でも完璧というのは、この施設のためにある言葉」ということを記事として書きました。
こういった対応があって初めて、食が心をつなぐものとなり得ているということです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)