美容成分のサプリメントは役に立たないのか

サプリメントは飲めば効果があるものと健康でも美容でも大いに期待されるところですが、一時期、“冷や水を浴びせる”ようなことが報道され続けたことがあります。そのネタはコラーゲンとヒアルロン酸です。
コラーゲンは繊維状のたんぱく質で、体内のたんぱく質の30%ほどを占めています。なぜ、そんなにも多いのかというと細胞の接着剤の役割をしているからです。皮膚のたんぱく質ではコラーゲンが70%も占めています。コラーゲンが含まれるサプリメントを摂れば皮膚の細胞の結びつきが強くなって、肌のキメが整えられ、皮膚の細胞から抜け出る水分が減るので潤いが保たれることが期待されています。
しかし、コラーゲンは胃の中で分解されて、アミノ酸の状態で吸収されます。アミノ酸は肝臓で体内に必要なたんぱく質に合成されます。コラーゲンを摂ったからといって、肝臓でコラーゲンが合成されるとは限らない、ということです。これが一般に知られたコラーゲン効かない説の理由ですが、実際にはコラーゲンを摂ると皮膚だけでなく体内のコラーゲンが増えていきます。というのは、コラーゲンは完全にアミノ酸に分解されるわけではなくて、高分子のたんぱく質であるコラーゲンから低分子のコラーゲンペプチドになり、この状態でも吸収されるからです。コラーゲンペプチドは肝臓に運ばれると、コラーゲンに合成されやすくなっているのです。
ヒアルロン酸は鶏のトサカから抽出されたムコ多糖類の保水成分で、1gで6ℓ(リットル)もの水分を保持することができます。このことから肌のハリと弾力を生み出し、シワを改善する成分として注目されています。しかし、ヒアルロン酸は胃でも小腸でも消化液では分解されず、吸収されないので意味がないということで、逆のヒアルロン酸効かない説も出てきました。
胃液でも腸液でも分解されないので小腸からは吸収されないものの、ヒアルロン酸は大腸に棲息している腸内細菌の善玉菌によって分解されて低分子化して、これが大腸壁から吸収されることが神戸大学とキユーピーの共同研究で明らかにされています。ヒアルロン酸の効果は個人差があると言われていますが、その理由として腸内細菌の状態が大きく影響していると考えられています。
また、低分子ヒアルロン酸には皮膚へのコラーゲンの定着を進める作用があることも確認されています。コラーゲンとヒアルロン酸が同時に配合されているサプリメントは、相乗効果も得られるということです。