人間の能力は、誕生したときから徐々に高まっていって、ピークに達した後は徐々に低下していくというのが通常のパターンです。これは筋肉や臓器などの成長でも機能においても同じような曲線を描いて変化しているのですが、一つだけ例外といえること(能力)があります。
それは脳の能力であり、同じ呼び名(脳と能)が続くので、混乱がないように「脳力」と表記しています。
脳力は脳が発揮する力のことで、頭脳の力と言い換えられてもいます。一般には記憶力、集中力、判断力といった能力を指していて、これらは脳細胞の回路のつながりが大きく影響を与えています。
脳の記憶容量は神経細胞の数が第一条件で、信号を受け取って別の神経細胞に伝えていく能力の掛け算で最大能力が推定されます。コンピュータにたとえると、記憶容量と記憶の出し入れの速度ですが、優れた神経細胞が数多くあっても、神経細胞がバラバラになっていて、つながりがない状態では、せっかくの能力が活かされないことになります。
脳の神経細胞は脳を使うほど神経細胞がつながっていって、脳のネットワークが高度(高密度)になっていきます。神経細胞の回路がつながることによって、情報の伝達が速くなり、記憶力も高まっていきます。
また、計算や記憶、思考などばかりではなくて、無意識のうちに身体を動かすときにも脳が働いていて、身体を動かすことによっても脳力(脳の機能)は高まっていきます。若いときから身体を動かすこと、年齢を重ねてからも身体を動かすことは、脳力を高めるため、脳力を保つためにも必要なことです。
年齢を重ねるにつれて身体活動が減ってくることも、脳機能の低下の原因の一つと考えられているのです。そして、運動習慣を欠かさなければ、年齢を重ねても脳力が高まる可能性があるということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕