認知症は脳の機能低下が原因となって引き起こされて、日常生活に支障をきたす一連の症状を指す言葉で、病名ではありません。
その症状は、主に脳の機能低下によって起こる症状である中核症状と、環境や体験、気質によって現れる症状である周辺症状に分けられます。
中核症状の主な症状は、記憶障害(ひどい物忘れ)です。
前日の食事で何を食べたか思い出せない、会った人の名前が思い出せないといったことは年齢を重ねると多くの人が経験する物忘れですが、認知症の場合には食事をした体験や外出して人に会ったこと自体を忘れるという特徴があります。
忘れたことがわかっているのは物忘れで、忘れたことを忘れるのが認知症と分類されることもあります。この他に今日の日付や今いる場所がわからなくなる見当識障害、段取りよく行動することが難しくなる実行機能障害といった症状も現れます。
周辺症状は徘徊、過食、拒食、幻覚・妄想、不潔行動などが現れ、周囲の人を困らせることがあります。これらの症状は、環境の変化や治療への恐怖感などから引き起こされることが多く、環境や対象者との接触法を変えることで不安がやわらぎ、改善されることがあります。
老化による物忘れと認知症の違いは、以下のように分類して説明されています。
〔老化による物忘れ〕
原因:脳の生理的な老化
忘れ方:体験したことの一部分を忘れる(ヒントがあれば思い出す)
症状進行:あまり進行しない
判断力:低下しない
自覚:忘れっぽいことを自覚している
日常生活:支障はない
〔認知症〕
原因:脳の神経細胞の変性や脱落
忘れ方:体験したことを丸ごと忘れる(ヒントがあっても思い出せない)
症状進行:だんだん進行する
判断力:低下する
自覚:忘れたことの自覚がない
日常生活:支障をきたす
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕