腸内には1000種類以上、約1000兆個もの腸内細菌が棲息しているとされています。腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌に大きく分けられます。
そのバランスによって腸内環境が変化しますが、善玉菌が増えることによって便通や体調がよくなるだけでなく、認知機能が高まることが確認されています。
腸内細菌は生まれる前の胎児の腸内には存在していなくて、産道で母親から腸内細菌を受け継ぎます。誕生直後の赤ちゃんの腸内細菌のほとんどはアクチノバクテリア門に分類される善玉菌で、その多くはビフィズス菌となっています。
その後にはフィルミキュテス門の細菌が増えていきますが、これは乳酸菌や皮膚の常在菌などです。フィルミキュテス門は脂肪分解を抑える働きがあることから、一般にはデブ菌と呼ばれています。
60歳以降になるとバクテロイデテス門が増えていきます。バクテロイデテス門は日和見菌です。日和見菌は普段は腸内環境に影響を与えるものではないものの、悪玉菌が増えると日和見菌は悪玉菌と同様の働きをするようになります。バクテロイデテス門は脂肪の分解を抑えることからヤセ菌と呼ばれています。
腸内細菌とアルツハイマー型認知症の関係を調べた論文(2017年:アメリカ・ウィスコンシン公衆衛生医科大学)によって、アルツハイマー病の人はフィルミキュテス門とアクチノバクテリア門の細菌が減るのに対して、バクテロイデテス門の細菌はアルツハイマー病では増えていることが確認されています。
アルツハイマー病では脳細胞にアミロイドβなどのタンパク質が増えていくことが知られていますが、バクテロイデテス門の細菌が多い人ほどアミロイドβが増えている相関性が認められています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕