老老介護の割合を減らす秘策とは

高齢者は介護をされる側という時代は、高齢化社会から“高齢社会”へと移り、超高齢社会とも呼ばれる時代となって、今では高齢者は介護もする側、介護をする側になりました。これを老人が老人を介護するということから「老老介護」という名前がつけられました。この老老介護は都市部で大きく増えています。都市部は結婚をしないまま高齢者になった人、結婚はしたが子供がいない高齢者世帯の割合が非常に高くなっています。高齢者の介護は子供がするという、かつての常識からいえば子供がいない高齢世帯は高齢者が高齢者の世話をする、介護をするしかないという状況になります。
都市部で老老介護が増えた最大の理由とされているのは集団就職です。集団就職が最も多かったのは東京と周辺地域で、東北から東京方面に向けての集団就職列車が初めて走ったのは1954年(昭和29年)のことで、これが終了したのは1975年(昭和50年)でした。集団就職列車というと、随分前の話と思われるかもしれませんが、終了したのは今から42年前のことです。そのときに中卒の15歳で上京した人は57歳になっています。まだ、老老介護の対象年齢ではありません。
これに対して初めの集団就職列車で“金の卵”として望まれて上京した方々は現在では78歳ということになります。現在の定義では高齢者は65歳以上ですが、日本老年学会と日本老年医学会の提言の75歳以上を高齢者としても、全員が高齢者となってしまいます。75歳以上を高齢者とすれば高齢者の数が減るので、老老介護も減るというような発言をした著名人がいますが、年齢の基準を変えれば、それで解決するような問題ではありません。
介護を受けないようにするには、まずは足腰の健康が重要で、自分の力で歩いて、買い物にも出かけられる、自分の意思で好きなものが選べる、そして自分の力で料理も食事もできるという基本的なことができる能力を維持することです。もちろん、生活習慣病になって、血管の老化が実年齢以上に大きく進んだら、脳梗塞や心筋梗塞の危険性、認知症の危険性が高まるために、これが介護の引き金になることもあります。生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防には食事の内容とともに運動習慣が重要であるので、歩けるようにすることで血管の健康を保てるようになります。
歩くことによる脳機能の維持については多くの研究機関で研究が進められ、厚生労働省の介護予防マニュアルでも歩行習慣は運動機能の向上よりも認知症予防として取り上げられています。
日本メディカルダイエット支援機構は、運動機能の維持向上のためにインターバルウォーキングを実施しています。インターバルウォーキングは、通常の速度でのウォーキングと中強度の歩行と呼ばれる速歩を交互に繰り返す歩行法で、筋力の強化、心肺機能の強化に加えて、脳機能の維持向上も目的として掲げています。歩き方を変えるだけでなく、運動の効果を高めるための食事(栄養摂取)と休養との組み合わせについても指導しています。