肌とストレス11 エネルギー代謝で肌が健康になる

肌の健康は、皮膚の細胞一つひとつの状態が影響しています。細胞はエネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質を取り入れて、これを材料にしてミトコンドリアの中でエネルギーを作り出しています。ミトコンドリアはエネルギー産生の小器官で、一つの細胞には200〜3000個もあり、全細胞のミトコンドリアを合わせると体重の10%にもなるということは、前に紹介しました。

ミトコンドリアの中にはTCA回路というエネルギーを作り出すエンジンのようなところがあり、その中で3種類のエネルギー源は酸素を使って9段階に変化します。一周してくるとエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)と二酸化炭素、水が作られます。

これによって作り出されたエネルギーは、それぞれの細胞の中だけで使われます。電気のように他の細胞に流れていくことはありません。全身の細胞を元気にして、肌も細胞の一つひとつから活性を高めていくためには、すべての細胞が同じように働くことが必要です。

ミトコンドリアでエネルギーが作り出されるときには、ビタミンB群のビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂がすべて必要になります。一つでも不足していると急にエネルギー効率が低下してしまいます。

このような流れで代謝によってエネルギーを作り出すことは異化と呼ばれます。そこで作り出されたエネルギーを使って、細胞に必要なものを作り出すことは同化と呼ばれます。同化によって身体を構成する成分や酵素、ホルモン、神経伝達物質などが作り出されて、これを使って細胞が、それぞれの役割をしています。肌によい成分を摂っても、エネルギーが充分に作られていなかったら、肌の健康が保たれなくなりかねません。

それと同時に大切になるのは、細胞の働きを邪魔する有害物質をできるだけ減らすことです。デトックスで体内から排出する有害ミネラルは、細胞の中に入り込むとエネルギー産生が低下してしまいます。デトックスをすると肌が綺麗になるといわれるのは、有害ミネラルの水銀、鉛、アルミニウム、ヒ素、カドミウムなどが皮膚の細胞を傷めにくくなるだけでなく、細胞の中で作り出されるエネルギー量が増えることが大きく影響しています。

無添加の化粧品を使い、食品に含まれる有害物質などにも気を使うのは大切なことですが、それと同時に、全身の細胞の中でエネルギーを多く作り出すための工夫にも取り組んでもらいたいのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕