肌とストレス15 食べ過ぎは血流を低下させる

コラーゲンが多く含まれた食品(ゼラチン、鳥手羽先、鶏皮、軟骨、牛すじ、フカヒレなど)は皮膚のコラーゲンを補うことができるという前回の話に続いて、一つだけ注意しないといけないことを紹介します。それはコラーゲンが多く含まれた食品の中には、脂肪が多く含まれたものがあるということです。

脂肪の摂取というと、太る原因となることが注目されがちですが、肌の健康を保つためにも摂取量を考えておく必要があります。脂肪を多く摂ると血液がドロドロになると言われます。これは粘度が高い脂肪が血液中に増えることで、血流が低下することを指しています。

このことを知ると脂肪(脂質)を多く摂らないようにして、代わりに糖質を多めに摂る人もいます。糖質には脂肪が多くは含まれていないので、血流を悪くすることがないと思われがちです。しかし、糖質も多く摂りすぎると、身体でエネルギー源として使われなかった分は、肝臓で脂肪に合成されます。この脂肪が血液中を巡ることにもなり、また脂肪細胞に蓄積されることにもなります。

糖質制限をするとダイエットができる、というのは、このメカニズムが関係しています。

どれくらいの脂肪の摂取ならよいのかというと、厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」(2020年版)によると、理想的な脂質(脂肪)の摂取割合は20〜30%とされています。この割合はエネルギー量の割合であって、分量ではありません。量で比較して、30%までなら食べてよいということではないのです。

脂肪のエネルギー量は1gあたり約9kcalです。同じ重量では糖質とたんぱく質は約4kcalなので、2倍以上のエネルギー量があります。その分を考慮して、脂肪の摂取量は少なめにする必要があります。

もう一つ注意しなければいけないのは、30%という上限についてです。「日本人の食事摂取基準」は5年ごとに発表されていて、以前は脂質の割合は20〜25%とされていました。これは脂肪を多く摂ってよいことになった、脂肪が多く含まれる肉類を多く食べてよくなったということではありません。上限を30%に変えたときに、同時に飽和脂肪酸の摂取を7%以下にすることが示されました。

飽和脂肪酸は肉類に多い脂肪酸で、魚類や植物油の脂肪酸は不飽和脂肪酸です。飽和脂肪酸は、いわゆる血液ドロドロの油脂、不飽和脂肪酸は血液サラサラの油脂とされています。

コラーゲンを摂るために、脂肪の摂取が多くなりすぎることがないように、普段の食事では脂肪を摂りすぎないように心がけることです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕