肝臓で作り出される多くの体熱

太っていると身体が冷える第一の理由としてあげられるのは、体熱を作り出す筋肉が少ないということですが、この他にも冷える理由があります。
内臓の周りにある内臓脂肪に脂肪が多く蓄積されていると、その脂肪が血管を圧迫することから血流が低下するようになります。脂肪細胞の中に多く脂肪が蓄積されていることは正常な状態ではないので、脂肪細胞の中に蓄積されている中性脂肪を分解して脂肪酸を血液中に放出するために、分解を進める働きがある興奮ホルモンのアドレナリンが多く分泌されます。その分泌は、脂肪細胞が減るまで出続けています。アドレナリンには血管を収縮させる作用があるため、血流が弱まることになり、その結果として冷えることになります。
内臓脂肪が多く蓄積されすぎた肥満状態になると、血流がよくないために冷えるということですが、脂肪細胞にも血管が通っていて、その中に脂肪が多く蓄積されるほど多くの血液が必要になってきます。そのために、太っていると血管の中の血液量が減ることになり、冷えるようになります。太っていると重ね着をしているようなものだから身体が温まると思われがちですが、それとは逆のことが起こっているということです。
体熱は肝臓でも多く作られています。肝臓は“人体の化学工場”と呼ばれているほど多くの化学反応を起こしていて、そのために多くの熱を発生させています。体熱の60%が筋肉で、約40%が肝臓で発生しているといわれています。肝臓は体重の50分の1ほどの大きさがあります。日本人は欧米人に比べて体格が小さい分だけ、肝臓が小さく、その分だけ発熱も少なくなっています。女性は男性に比べて身体が小さいので、さらに発熱量が少ないことになり、その分だけ身体が冷えやすくなっているのです。