一般には脂肪細胞に蓄積された中性脂肪が脂肪酸に分解されて、それが筋肉細胞に運ばれて燃焼するというように表現されていますが、実際に脂肪酸は燃焼しているわけではなくて、エネルギー代謝が起こっているだけです。しかし、ここでは一般的な表現として燃焼という表現で進めていきます。
脂肪燃焼の促進作用がある健康食品素材としては、α‐リポ酸、L‐カルニチン、カプサイシン、ビタミンB₂、分岐鎖アミノ酸があげられます。
α‐リポ酸はビタミン様の補酵素の一種で、チオクト酸とも呼ばれます。体内のすべての細胞に存在していて、本来は炭水化物を分解するエネルギー産生に欠かせない物質です。糖質、脂質、たんぱく質から作られるピルビン酸からTCA回路で利用されるアセチルCoA生成を促進する作用と、エネルギーを作り出すミトコンドリア内のTCA回路内での補酵素として働き、エネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)の生成に不可欠な成分となっています。
L‐カルニチン必須アミノ酸のリジンとメチオニンから合成されるアミノ酸の一種で、体内に蓄積されています。L‐カルニチンは肝臓で少量が合成されているものの、20歳をピークに減少して、次第に不足ぎみになります。脂肪を筋肉細胞に取り込み、体のエネルギー産生を補助して、脂肪酸の代謝を促進させます。肩甲骨や首、わきの下にある褐色脂肪細胞を活性化して熱エネルギーを発生させるとともに、脂肪を分解する酵素のリパーゼを活性化させます。
カプサイシンは南アフリカ原産のナス科1年草のトウガラシ(唐辛子)の種子などに含まれる辛味成分です。血液中に入ると興奮ホルモンのアドレナリンやノルアドレナリンの分泌を盛んにして、体内のエネルギー代謝を促進し、脂肪の燃焼を促進します。また、皮膚温を上昇させて血液循環を促進する作用があり、食べるだけで発汗を促します。
ビタミンB₂は水溶性ビタミンで、リボフラビンとも呼ばれています。糖質、脂質、たんぱく質のエネルギー代謝の補酵素で、特に脂質の分解・合成に深く関わっているため、不足すると血液中の中性脂肪や体脂肪の増加を引き起こします。サプリメント素材では、ビール酵母、ケール、クロレラ、スピルリナなどに多く含まれます。
分岐鎖アミノ酸は必須アミノ酸のうちバリン、ロイシン、イソロイシンの総称で、BCAAとも呼ばれます。筋肉のエネルギー源となる唯一のアミノ酸で、枝分かれをする分子構造のため分岐鎖アミノ酸と呼ばれます。筋肉を構成する必須アミノ酸の30~40%がBCAAで、筋肉のタンパク質分解を抑制し、活動時には筋肉でエネルギー源となり、筋肉を維持するアミノ酸となります。これによって脂肪燃焼が促進されます。